裏込め注入工

BACKFILL  GROUT  INJECTION

裏込め注入工とは

シールド工法では、シールドマシンで地盤の崩壊を防ぎながら掘削を行い、鋼製またはコンクリート製の「セグメント」と呼ばれるブロックをリング状に組み立てていきます。裏込め注入工は、掘進中に発生する「テールボイド(セグメントと地山との間に生じる隙間)」を、速やかに充填するための工種です。セグメントを固定し、地盤沈下や周辺構造物への影響を防止します。

NEO-TAC工法

1976年に、世界初の2液型クレーサンド系裏込め注入工法である「TAC工法」を開発しました。『NEO-TAC工法』は、従来のTAC工法が有する「水に希釈されにくい擬似固結裏込め注入」、「早期強度の発現」、「確実な充填性」といった特長に加え、A液中の空気量を10~15%とすることで、「長距離圧送性の向上」「長時間安定性の向上」「可使時間の長期化(硬化時間の遅延性)」を実現した、2液型可塑状裏込め注入工法です。

NEO-TAC工法の特徴

  • 注入時に加圧・圧縮されたエアー圧力によって、テールボイドの応力解放を低減させます。
  • 注入圧力の変動をなだらかにすることで、周辺地盤への応力変化を低減させます。
  • 単位水量を減少させ、早期強度の発現と強度の増進効果を得ることができます。
  • 微細なエアーのベアリング効果によって、テールボイドへの充填性を向上させます。

施工のメリット

  • ①長距離圧送が可能。
  • ②可使時間が長い。(裏込めA液)
  • ③長期安定性が優れている。(裏込めA液)
  • ④充填性に優れている。
  • ⑤水に希釈されにくい。
  • ⑥早期強度の発現が得られる。
  • ⑦同時注入に適している。
  • ⑧硬化後の体積変化がない。
  • ⑨施工管理が容易である。
  • ⑩無公害である。

裏込め材料試験(フロー値、ゲルタイム、一軸圧縮試験)

裏込めA液体積変化確認試験

加圧養生試験

その他の特徴

エア系裏込め材は、注入前は流動性および材料分離抵抗性に優れ、注入中はワーカビリティの高さにより狭いテールボイドへの充填性に優れています。また、注入後は早期に強度が発現します。さらに、長期的には透水係数が10⁻⁸ cm/sec以下と低く、断熱性に優れるとともに、凍結融解作用に対する抵抗性にも優れた特徴を有します。

凍結部の性状

解凍時

解凍後

透水係数測定

三軸セルを用いた透水試験測定値

裏込め注入材料

施工環境や目的に応じて選べる、高性能な裏込め注入材料をご紹介します。

使用材料

材料 品名 荷姿 比重 使用目的
硬化材 タックメント (ローリー車) 3.15
  • モルタルを硬化させる目的で使用する。
  • 長期強度に大きく影響する。
助材 TAC-α
TAC-βⅡ
(ローリー車) 2.6
  • モルタルのブリージングを抑制する目的で使用する。
  • 品質の安定性、圧送延長に大きく影響する。
起泡剤 TAC-2c
TAC-2号
18kg/缶
19kg/缶
1.04
1.0
  • モルタルに所定の空気量を形成する目的で使用する。
  • 充填性、強度発現に大きく影響する。
安定剤 TAC-Re 20kg/缶 1.27
  • モルタルの可使時間を長くする目的で使用する。
  • 圧送延長に大きく影響する。
塑強調整剤 TAC-3G (ローリー車) 1.37
  • モルタルを可塑状にさせる目的で使用し、地下水による希釈を抑制する。
  • 早期強度に大きく影響する。
ゲル促進剤 TACゲル 25kg/袋 1.0
  • 2液の裏込め材の疑似固結させる時間を短くする目的で使用する。
  • 地下水による水希釈の抑制に大きく影響する。

標準配合例(起泡材「TAC-2c」使用)

地域 1㎡配合 一軸圧縮
強度 (N/
mm2)
A液 B液
硬化材 助材 起泡剤 安定剤 空気量 塑強調製剤
タックメント TAC-α TAC-2c TAC-Re 清水 TAC-3G 材齢1時間
関西・中国・四国
(岡山産TAC-α)
230kg 30kg 0.3kg 2.3kg 720L 143L 50L 0.03
250kg 30kg 0.3kg 2.5kg 710L 142L 55L 0.05
270kg 30kg 0.3kg 2.7kg 699L 141L 60L 0.10
東日本
(山形産TAC-α)
230kg 20kg 0.3kg 2.3kg 724L 143L 50L 0.03
250kg 20kg 0.3kg 2.5kg 714L 142L 55L 0.05
270kg 20kg 0.3kg 2.7kg 703L 141L 60L 0.10
東海・北陸
(岐阜産TAC-α)
230kg 20kg 0.3kg 2.3kg 724L 143L 50L 0.03
250kg 20kg 0.3kg 2.5kg 714L 142L 55L 0.05
270kg 20kg 0.3kg 2.7kg 703L 141L 60L 0.10
九州
(九州産TAC-α)
230kg 33kg 0.3kg 2.3kg 719L 143L 50L 0.03
250kg 33kg 0.3kg 2.5kg 709L 142L 55L 0.05
270kg 33kg 0.3kg 2.7kg 698L 141L 60L 0.10

標準配合例(起泡材「TAC-2号」使用)

地域 1㎡配合 一軸圧縮
強度 (N/
mm2)
A液 B液
硬化材 助材 起泡剤 安定剤 空気量 塑強調製剤
タックメント TAC-α TAC-2号 TAC-Re 清水 TAC-3G 材齢1時間
関西・中国・四国
(岡山産TAC-α)
230kg 30kg 0.5kg 2.3kg 720L 143L 50L 0.03
250kg 30kg 0.5kg 2.5kg 710L 142L 55L 0.05
270kg 30kg 0.5kg 2.7kg 699L 141L 60L 0.10
東日本
(山形産TAC-α)
230kg 20kg 0.5kg 2.3kg 724L 143L 50L 0.03
250kg 20kg 0.5kg 2.5kg 714L 142L 55L 0.05
270kg 20kg 0.5kg 2.7kg 703L 141L 60L 0.10
東海・北陸
(岐阜産TAC-α)
230kg 20kg 0.5kg 2.3kg 724L 143L 50L 0.03
250kg 20kg 0.5kg 2.5kg 713L 142L 55L 0.05
270kg 20kg 0.5kg 2.7kg 703L 141L 60L 0.10
九州
(九州産TAC-α)
230kg 33kg 0.5kg 2.3kg 719L 143L 50L 0.03
250kg 33kg 0.5kg 2.5kg 708L 142L 55L 0.05
270kg 33kg 0.5kg 2.7kg 698L 141L 60L 0.10

裏込め早期強度グラフ

①A液性状 フロー値:400±100mm
②A,B液混合性状 ゲルタイム:15秒以内
③実施工においては、工事内容および 現場条件を考慮して配合を充分に検討すること。

裏込め注入設備

安定した裏込め注入施工を支える、設備とフロー図をご紹介します。

裏込め注入フロー図(同時注入)

裏込め注入フロー図(即時注入)

裏込め注入プラント

同時注入管

同時注入管は、シールド機上部に設置され、掘削と同時に発生するテールボイドへ即時に注入を行う「同時注入方式」に用いられます。なかでも先端混合型注入管は、2液を混合するミキシングノズルを先端部に内蔵しており、セグメント注入口からの注入と同様の原理で施工が可能です。これにより、閉塞トラブルを大幅に改善しました。

先端混合型同時注入管

裏込め注入圧測定

注入管メンテナンス

同時注入管のメンテナンスの目安は、裏込めB液圧力や洗浄水圧力の上昇です。定期的にチューブゴムの交換が必要となります。
また、モルタルコレステロールが注入管の内面および接続部に付着するため、TACクリーンによる管内循環洗浄や、カンツールを用いた清掃が有効です。

ETAC工法

ETAC工法とは、単純なパイプ構造の注入管を用いて、2液型可塑状裏込め材の使用を可能とする注入工法であり、2000年に開発されました。海外においても、地盤沈下抑制に効果的な工法として高く評価されています。

システムフロー

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